Ideal Candidate Profile ( ICP ) で理想の応募者像を定める
こんにちは。人事グループ・組織開発室に所属し、組織開発を担当しているてぃーびーです。
採用活動をするうえで求人票で候補者に求める要件として、必須要件・歓迎要件・求める人物像があります。これらは最低限必要な内容をまとめたものであり、求人要件として外部に見せることを考慮して作成されています。一方で、理想の要件を社内の関係者向けに作成するのが、 Ideal Candidate Profile です。
この記事では、理想の応募者像を定める手法である Ideal Candidate Profile について解説します。
Ideal Candidate Profile とは
Ideal Candidate Profile ( 以降 ICP と略して記載します ) は、採用活動において、企業が特定のポジションや役割で理想とする候補者の特性や条件を具体的に定義したものです。
ICP の利用法
ICP は採用プロセスを効率化し、候補者のスキルや性格、適応性といった基準を明確にします。また、採用担当者や関係者間での一貫性を確保するのに役立ちます。
ICP と求人要件の違い
ICP と求人要件には、以下のような違いがあります。
項目 | ICP | 求人要件 |
---|---|---|
目的 | 理想的な候補者の特性を詳細に定義し、採用ターゲットを絞り込む | 必須条件と歓迎条件を提示し、応募者の適合性を判断する基準を提供する |
内容のフォーカス | 理想的なスキルや性格、企業文化への適応度、ソフトスキルなど、より包括的な要素 | 必須条件やスキル、経験など、応募基準に直接関連する具体的な要件 |
具体性のレベル | ポジションのニーズに基づいてカスタマイズされた具体的な特性 | 一般的で標準化された要件が多い |
ターゲット | 狭く絞り込まれた特定のタイプの候補者に焦点を当てる | 広範囲の応募者を対象とする |
使用タイミング | ピンポイントの採用戦略(例えば、Account Based Recruiting)で活用 | 求人広告や一般的な採用プロセスで利用 |
ICP と求人要件の比較例
ICP と求人要件について、架空の求人を元に比較してみます。
サーバーサイドエンジニアの例の前提
ウェブのベンチャー企業における中堅くらいのサーバーサイドエンジニアの求人を想定しています。
サーバーサイドエンジニアの ICP の例
項目 | 内容 |
---|---|
背景 | 5年以上のサーバーサイド開発経験(スタートアップまたはベンチャー企業での経験が望ましい) |
背景 | Pythonでの豊富な開発経験と、クラウド環境(AWS/GCP)でのプロジェクト経験を持つ |
スキルセット | 高度なAPI設計スキルと、スケーラブルなシステムの構築経験 |
スキルセット | CI/CDパイプラインの構築経験を持ち、DevOpsの基本的な知識を理解している |
ソフトスキル | チーム内で技術リーダーとしての役割を果たし、チームメンバーの教育・指導に積極的 |
ソフトスキル | 自発的に課題を発見し、解決するマインドセットを持つ |
文化適合性 | ベンチャーのスピード感を楽しめる |
文化適合性 | チーム内の透明性や協力を重視する |
サーバーサイドエンジニアの求人要件の例
項目 | 内容 |
---|---|
必須要件 | 3年以上のサーバーサイド開発経験 |
必須要件 | Python、Ruby、またはJavaでの開発スキル |
必須要件 | RDBMS(PostgreSQL、MySQLなど)の使用経験 |
必須要件 | REST APIの設計・開発経験 |
歓迎要件 | AWSやGCPを用いた開発・運用経験 |
歓迎要件 | CI/CDの構築経験 |
ICP と Account Based Recruiting
Account Based Recruiting ( 以降 ABR と略して記載します ) は、 Account Based Marketing ( ABM ) のアプローチを採用活動に応用した手法です。 ABM では特定の企業(アカウント)をターゲットにマーケティングを行うのに対し、ABRでは特定の候補者を「アカウント」として捉え、パーソナライズされたアプローチで採用活動を行います。ABR では最初に厳選された対象に焦点を当てる点が、従来の採用方法とは大きく異なります。
ABR では対象を大きく絞る代わりに、少数の有力な候補者に対して、面談やフォローアップの時間を重点的に割り当てます。大きく絞る際の判断基準に ICP が最適です。この人なら是非入社して欲しい、と最初からわかっている人に時間を使うため、通常の求人要件ではなく、 ICP に当てはまる人を狙うわけです。